在独歴16年、ドイツ企業で日本人が一人の環境で過ごしている筆者がお送りするシリーズ「ドイツで仕事をするために」
今回は面接編です。
今まで何度かドイツ企業を転職し、培ってきたノウハウを書いていこうと思います。
今後少しでもドイツ企業に就職を考えている日本人のかたの助けになれれば幸いです。
電話かメールでコンタクト
書類審査にパスしたら、メールか電話でコンタクトがあると思います。
応募したその日に連絡が来ることもあれば、何か月も連絡がない場合など会社によってまちまち。
気長に待ちましょう。
1つの空きポジションに数十人から数百人の応募があることも多々。そのため書類審査ではかなりの人が振るいにかけられて落とされてしまいます。
面接へのお誘いがあれば、採用まではかなり近くなったといえます。
日本のように、大量の人を面接して振るいにかける、などということは聞きません。
(アセスメントセンターで試験がある会社は別)
せっかく面接までいけたのであれば、採用まで辿り着きたいものです。
書類選考を突破したら、企業側はあなたのことを採用に向けてかなり前向きに考えている、ということになります。
今回はドイツ企業でのドイツ語面接などについて書いていこうと思います。
メールでコンタクトが来た場合
メールの場合は、まずは「応募ありがとう」というメッセージのあとに、面接への招待文章が続きます。
面接予定日や時刻が書かれていると思われるので、選択ができるのであれば選択をしてメールを返信。
電話が来ることを考えて準備
電話がくる場合もあるので、ある程度応募をするときに心の準備と電話が来た時の対応の仕方を考えておくといいと思います。
普段の話し方とは少し違いますし。友達じゃないですからね。
とっさに「Sie」系で話せるようにしておかないといけませんよね。最初は難しかったです。
ドイツ企業の場合、電話であなたのドイツ語力を試しているかもしれないので、スムーズに対応できるようにしておくことが大事でしょう。
事前に「〇時に電話をします」とメールがくる場合もあります。
電話で面接予定日を決めた場合には、企業側に面接予定日と時刻をメールしてもらうように言いましょう。普通、ここを断る企業はないはずです。
書面で確認を取っておくことはビジネスをするうえで大事なので、相手側としても、あなたが書面でのやり取りを大事にしていることを印象付けられます。
税金対策にもなります。
面接時の費用
メールでの面接日時の確認は、自分自身と企業側での面接日や時刻の確認という面もありますが、ドイツでは面接をする場合、企業側がそれにかかる費用などを負担しないといけないことになっています。
負担をしたくない企業の場合は、メールにそのようなことを書いたりします。
何も書かれていない場合には、面接にかかる費用は個人負担となります。そのときには、年度末に行う税務署類に、面接にかかった費用を「経費」として申請することが可能なので、証明できるような書類が必要となります。
そのためにも、メールを送ってくれるように言いましょう。
ドイツで就活 面接は1回?2回?
応募しているポジションによりけりです。
マネージメント系の仕事でない場合には、面接は1回の場合が多かったです。
人事課のほかに、自分の直接の上司になる人と、その上司やチーム内の誰かなど。
管理職の場合には、最初に人事課の人と、直属の上司になる人。
2回目の面接では、上記2名に追加してその上のポジションなど。
アセスメントセンターに送られたり、面接後にネットでの試験を受けるように言われることもあります。
面接に持っていくもの
面接には当然ですが時間通りに行きましょう。
結構時間に厳しいドイツなので、遅れるのは厳禁です。早すぎるのもよくないので気を付けましょう。
僕はたいてい時間通りに行くようにしています。
履歴書の写真と同じ服装でもかまいませんし、違うものでも特に問題はありません。
職種にあった服装であれば問題ないです。
面接にはプリントアウトした履歴書を持参しましょう。
この点を忘れている人が結構多いように思います。マップに入れて、きれいなものを持っていくようにしています。
面接する企業は、メールやオンラインフォームで送られたあなたの履歴書をプリントアウトしている場合がほとんどですが、相手に与える印象が全然違います。
志望動機が書かれた用紙は必要ありませんが、履歴書はプリントアウトして、履歴書を入れる専用のファイルにシッカリと入れておいて、面接が始まるときに相手に渡すと相手の顔色も少し変わってきます。(全く気にしていないところもありましたが、僕の場合は毎回持参しています)
面接のお誘いや面接確定のメールが来た場合には、送信者やCC欄を必ず確認しましょう。
ここを確認することによって、相手側が何人あなたの面接に参加するのかがわかってきます。
僕の場合、一番多かった時で4人でした。なるべく人数分を持参していくといいと思います。
人によっては「持っていく必要はない」と言う人もいると思います。それも正解です。
ただ、僕の中では今まで持参していって悪い印象を与えたという感じは受けたことがありませんし、どちらかといえば好印象だったのではないかと感じているので必ず持参するようにしています。
また、僕が必ずもっていくのがノートとペン。
日本では面接時に書いたりすることはありませんが、ドイツでは結構普通です。
相手が言ったことを書いておいて、契約をする段階で面接時に言っていたことと契約書に書かれている内容が同じかどうかを確認したり、面接時は舞い上がっていて忘れてしまう場合があるので、家に帰って落ち着いてから読み直したりするようにしています。
ドイツでの就活中、面接でよく聞かれる8つの質問
Stellen Sie sich kurz vor?
大抵の面接では最初に聞かれるのではないでしょうか。
「簡単な自己紹介をしてください」というようなことです。
ドイツ企業での面接では、自己紹介を時系列で話していくことになるのですが、普通は現在のことから順序良く時間を遡っていくように話を組み立てます。
現在の状況→今までの職歴→学生時代(何を勉強したのか)
履歴書に書いてあることを、自分の言葉で簡単にまとめて言えるようにしておきましょう。
Warum sind Sie in Duetchland?
外国人なので大抵は聞かれることでしょう。
「なぜドイツにいるの?」
Möchten Sie irgendwann nach Japan zurück?
「そのうち日本に帰るの?」
これもよく聞かれます。
僕の場合は「家族がいるから帰ることは考えていない」「もうすでに10年以上いるし、ドイツが合っている」などというように答えています。
Warum sollten wir Sie einstellen?
「私たちがあなたを採用する理由は?」
これもよく聞かれます。結構ストレートに聞かれます。
自分の今までの経験と、応募したポジションの仕事内容と絡めて話をするといいと思います。
Bitte erzählen Sie Ihre Stärken und Schwächen?
「あなたの長所と短所を教えてください」
「短所」は長所と少し絡めながら、マイナスな印象を与えないように、短所を長所に変えるように努力をしている、というようなことを話してみましょう。
Wo sind Sie in 5 Jahre?
「あなたの5年後を教えてください」
何度もこの質問をされた経験があります。比較的この質問が好きなように思います。
現在応募しているポジションの上を目指しているのか、安泰を目指しているのか。
会社にもよりますが、上を目指している人を求めているような会社であれば、そのように回答をしてみるといいと思います。
Was war Ihr Größter Fehler und was haben Sie daraus gelernt?
「今までで最大の失敗と、そこから学んだことは?」
失敗はマイナスですが、そこから学び前に進んでいるのであれば、その失敗は今の成功のための失敗である、というような考え方があります。
失敗例を挙げて、そこから学びどのように改善をしたのかを説明しましょう。
ドイツでは失敗をポジティブに考えています。
そこで立ち止まらないことが求められます。
Haben Sie noch Fragen?
「質問はありますか?」
ここでは必ず何か聞きましょう。
大抵のことは面接の中で企業側が話してくれるかもしれませんが、話忘れていることもあるかもしれません。
例えば
- 有給休暇の日数
- ビジネストリップ(出張)の有無
- 就業時間
- お昼休みの時間(30分だったり45分だったり1時間だったり)
- 働いている人数
- 少しオフィスの中を見せてくれませんか?
- 会社の5年後や10年後のビジョン
事前に質問を2~3考えておくといいでしょう。
企業のホームページをまずは確認して、疑問に思ったことなどを聞いてみるといいでしょう。
逆にホームページに書かれていることは聞いてはいけません。企業側が「ホームページも見ていないのか」と思います。
ホームページをしっかりと確認したうえで、書かれていない内容を質問すると企業側もあなたがシッカリと準備をしてきて、会社に興味があるということを証明できると思います。
上記はどこの会社であろうと聞かれる可能性の高いものです。
面接を始めてすぐに、会社のことを説明してくれる場合があったり、逆に「この会社はどのような会社か知ってる?」と聞かれたこともありました。
職種によっては、その職種に関することを聞かれることもあるので、事前準備はしておきましょう。言うまでもないと思いますが・・・。
ドイツでの就活でやっかいなのが給料交渉
日本の企業で就職活動をしたことがないのでわかりませんが、ドイツでは給料は決められている場合と、交渉する場合があります。
僕の場合は、相手は心の中に決められていつつも、まずは聞く。というような感じが多かったです。
公務員や大きな企業で労働組合があるところは、すでに決められている場合がありますが、そうでないところは交渉です。
まぁ、大抵は企業側は予算があるので、ある程度決めていることがほとんどです。
給料の決め方はドイツ人にも難しい部分ではあるようです。
自分の評価を金額として自分で相手側に提示しないといけないわけですからね。
ネットで検索をするとある程度の金額が出てくると思われますが、僕の場合は相場よりも上を言うようにしています。
企業側は僕の相場よりも低く見積もりを出していると思われます。なので、そこから少しずつ擦り合わせを行っていきます。
この交渉は好きではありませんが、通らなければいけない道ではあります。
何度も面接を経験すると、この空気にも段々と慣れてはきますが、あまり好きな瞬間ではないことは確かです。
上記したとおり、大抵の場合には企業側は僕の言い値よりも低く見積もっていて、提示をしてきます。その後いつも「うちにいる財務大臣に聞いてみますよ」と言うと、少し場が和みます。
面接の終わり方
経験上、給料の交渉は最後のほうに行われます。
給料交渉の話が終わると、今までの経験では「何かまだ質問はありますか?」となり、ない場合は面接終了となります。
次のステップを教えてもらうか、聞くかして握手をして終了となります。
終わるときには、握手をするときに「時間を作ってくれてありがとう」と言うようにしています。
ただ「ありがとうございました。さようなら」では少し味気ないので、その前に「時間を作ってくれてありがとう」というと、少しいい印象を残しつつ終わることができるように思います。
最後に
ドイツ企業でドイツ語での面接は緊張すると思いますが、ある程度質問を予想して答えを考えておくと躓かずにスムーズに進むと思います。
日本企業の面接と同じ感じですね。言語がドイツ語になっただけだと考えましょう。
今までの印象では、企業側はそこまで完璧なドイツ語をしゃべる人を求めているようには思いませんでした。
言い直しをしたり、少し単語を考えたりしても特に問題はありません。
現に、ドイツ語を完璧にしゃべることができるわけではありませんが、いくつかのドイツ企業に就職できました。
とは言え、ある程度の文法と単語力、ドイツ企業に合うような人が求められているのは言うまでもないです。
自分の言葉で言いたいことを言えることが大事なのだと思います。
何度も面接を経験してきましたが、未だに緊張します。
ですが、場慣れもしてきました。最初は言いたいことが言えないことが多かったですが、何度も面接を経験すると、聞かれることが決まっているような質問はスムーズに言えるようになってきます。
家で練習をしたとしても、面接を実際にすると場の雰囲気が違います。
まずは、色々なところに応募してみて面接をしてみるのもいいかもしれません。あなたに合う会社がふいに見つかるかもしれません。
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